印刷でフィルム?

工務部のTです。

いまや印刷業界の刷版方式はCTP(Computer To Plate)が主流ですが、以前はフィルムからPS版に焼き付ける方式があったことはご存じでしょうか?

弊社では数年後にはCTPを導入して20年を迎えようとしております。CTPの作業技術は日々進化し高性能化されています。その反面、フィルムを使用した刷版は減少に一途を辿り、フィルム製版に必要な道具・機材、さらにフィルムでの作業を扱える技術者も非常に少なくなりました。

今では新規でフィルムを使用することは皆無と言ってもいいくらいになりましたが、稀に再版でフィルムを使用することがあります。

今回はそのフィルム修正について少しにお話しをさせていただきます。まずは組版データ形式で大きく作業性が異なります。DTP製版されたデータが残っていれば大体の作業は可能なので苦労はしません。問題なのがアナログ製版しているものです。アナログ製版は基本的に手作業で製版されているので、組版データが存在しません。簡単な文字修正程度であればいいのですがレイアウト変更や写真の差し替えとなると手作業では不可能になり多くの時間と手間を費やします。

では、手作業で不可能なものはどうするのかといいますと、フィルムをスキャンしてデータ化します。データ化してしまえば作業性が格段に向上しますが、フィルムをスキャンするのがまた大変で、1色であればフィルムは1版ですが、4色になればフィルムが4版になりスキャン時間は単純計算で4倍になります。さらに古い設備と新しい設備で出力したフィルムでは整合性の取れない部分がどうしても出てしまいます・・・などなど、あれが大変これが大変なんて言っていたらキリがないのですが、一番の問題は先にも述べた通り、フィルム製版に必要な道具・機材が少なくなったことでしょう。おそらく、現在の設備が故障してしまうと修理不能であったり、製版用のフィルムをメーカーさんが生産を中止してしまったらそこでフィルムの再出力は終了です。

先を見据えると、いつ使用不可となってもおかしくない状況です。例えるなら「昔のビデオテープはデッキが壊れたら見られなくなってしまう」というような感じでしょうか。そうなる前にデータ変換してブルーレイディスクに保存しておくように、フィルムからデータ化してCTPへ移行することをお薦めします。