オフセット印刷(2)

江戸川工務部のNです。

  今回で3回目のブログ投稿となります。周りの皆さんは技術的なお話ばかり、そろそろ私も技術的な話を…. と言っても、何から話そうか?迷うくらい印刷って奥が深く、自分でも解ってるような?解ってないような?部分もありますが、知りうる限りの範囲でお話します。

 先ずはオフセット印刷の名前の由来ですが、版からインキを剥がして(オフ:OFF)ブランケットに移し、ブランケットから紙に移す(セット:SET)ことから、オフセット(OFFSET)印刷と呼ばれています。ちなみに海外でもOFFSET PRINTINGで通じるみたいです。

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 では、オフセット印刷とは?どんな印刷方式でしょう。簡単に言えば水と油の反発作用を利用した印刷方式です。オフセット印刷で使用するPS版(アルミでできた板)の表面には感光材が塗られており、レーザー光を当て現像されることで、水を吸収する親水性の非画線部とインキ(油)がのる親油性の画線部が現れます。印刷機上では、PS版の非画線部は親水性ですから水を含みインキの付着を防ぎます。画線部では親油性ですのでインキが付着して、ブランケット胴(ゴム胴)に絵柄のみ転写され紙へ写ります。イメージ的には右図参照してください。

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 オフセット印刷は、水、油の二つを上手に調整して印刷するものなのです。その中の水から説明しましょう。前のブログで「水を制する者は、印刷を制する」と書きましたが、大変重要な役割を担っています。さっきから「水」としか言ってませんが、正式には「湿し水」と言います。水だけでも刷れるんじゃないの?確かに刷れます!!が、間違いなくトラブります。高速回転で連続印刷している機械内部のPS版は常に摩擦を起こしています。そのような環境下に置かれているPS版の性能を維持させる能力が水道水にはありませんので、PS版が傷み印刷不良を引き起こすのです。水質も水道水は中性ですが、湿し水はやや酸性~中性であるのが一番良いとされています。数値で言うとpH値5、6くらいですかね。大変重要な湿し水には保水能力、修復能力等の性能をもつエッチ液なるものを添加して印刷しやすくしています。極論ですが、オフセット印刷では湿し水だろうが水だろうがなければない方が良いのかも知れません。紙にとってもインキにとっても水分は敵ですからね。版面に適正な湿し水を送ることが一番重要なのです。 

 次にインキですが、顔料や油分などを含んだ成分でできています。その種類も枚葉インキ、新聞インキ、UVインキ等があります。乾燥方式も酸化重合や紫外線硬化があり、発色も変わってきます。枚葉オフセット印刷のプロセス4色はBk(ブラック)・C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)で、様々な色の表現をしています。この4色で出ない色が特色となり、解りやすいところでは金や銀なんかが特色と言われるインキです。4色の刷り順は一般的には、Bk・C・M・Yとなっています。Bkは粘度が高く皮膜が薄く、最後に刷るYは粘度が低く皮膜が厚いのです。印刷濃度もBkが一番高くYが一番低いのもインキの成分から一応決まっているということです。機長さんによっては、絵柄を見て刷り順を替えたりすることも極めて希に行います。例えば単色墨より墨を濃く見せたい時などデータで墨以外に補色を入れる場合があると思いますが、印刷でも刷り順を替えてあげると効果がさらに上がります。あくまでも裏技的であまりやりませんけどね。ローラーにインキが染み込んでますから色替えも大変な作業になってしまいます!!そんなインキが紙にのる厚さは、1μ(0.001mm)です。薄いでしょう!!実際には膜厚を計る事なんてしませんが、濃度を合わせで印刷したり、原稿合わせで印刷したりと様々です。

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 今回は、オフセットで大変重要な湿し水とインキの部分をざっくり説明しましたが、この他にも工場内の温湿度、紙、機械等をしっかりと管理しなければなりません。すべてを完璧な印刷条件にして印刷することはなかなか難しいのですが、機長さんは使う資材、機材をコントロールして日々奮闘しながら印刷します!!