組版データから書き出すPDF

生産部のHです。

梅雨時期ですが、雨が非常に少ないです。
野池やダムは既に減水が進み、夏前に干からびてしまいそうです。
極度の減水は魚にプレッシャーを与えてしまい、釣り人にとっては厳しいものです…。

それでは本題に入ります。
今回は「組版データから書き出すPDF」について少し書きたいと思います。

最近は『組版データは印刷するためだけのデータ』という考え方では、NGとなってしまいました。
電子データも作成する事を前提に、組版データを作成しなければいけない時代です。

その組版データですが、必ずしもInDesignで作成されるという訳ではありません。
弊社では様々な組版環境が備わっており、オーダーされた仕事によって使い分けています。

もちろん現在のDTP標準ソフトである「InDesign」で作成する場合が最も多いのですが、
一括処理(大量ページの自動組版)に向いている辞典や抄録集、高度な数式組版が必要な学術書等は、モリサワのMDS-B2 (MC-B2のオプション統合パッケージ)を使用する事が多いです。
また、現在ほとんど見る事がなくなった写研システムも現役で稼働しています。

このような様々な組版環境から、PDFベースの電子ジャーナルや電子書籍を作成するには“組版環境によるPDF書き出しのクセ”を把握しておく必要があります。

その1つとして『Adobe PDFプリンターで作成するPDFは「サイズの誤差」が生じてしまう』という問題があります。

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これはPDFの内部数値が1/72inchベースの“ポイント単位”となっているため、ミリ単位換算時に誤差が生じてしまうという事です。

そして厄介なことに…Acrobatの文書プロパティのページサイズ、左下の自動表示されるサイズを見ても、しっかり正寸サイズで作成されている様に見えてしまいます。

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しかし“ページボックスを設定”のページサイズを見ると、小数点第二位までの情報が表示され、ここでようやく誤差が分かります。

 

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B5版の誤差は【182.04 × 257.18 mm】と、僅かな誤差です。

このPDF単ページで完結する場合は、それほど問題はないのですが…
Adobe PDFプリンターを介さずに作成した(Illustrator等)正寸サイズのPDFと結合する場合、少し問題があります。
僅かでもサイズの違うPDFですので、ビューワソフトでスクロールした時にガタツキ強制拡大縮小が起こってしまいます。

この誤差があるPDFを正寸サイズへ加工するには、InDesignへ貼り込み→再度PDFへ書き出す方法が便利です。
また正寸サイズへ加工する以外にも、様々なメリットがあります。 納期短縮へも結び付きます。

  • PDF書き出しプリセット(joboption)を当てる事が可能なので、印刷用として保管されているPDFを電子データとして流用可能
  • 大量ページのインポートもスクリプトを使用すれば楽々可能
  • プロセスカラーで作成されたPDFを特色へ変換(擬似色変換)する事も可能
  • トンボ付きPDFもトンボをカットし、正寸サイズへ書き出しが可能

もちろんマシンスペックに左右されるので、低スペックのマシンでは処理落ちする可能性も考えられます。

…実はAcrobatでもプラグインやプリフライトを組み合わせる事によって上記同様の処理が可能です。
ですが残念な事にエラーメッセージなしで強制終了している場合が多々あり…オススメはできません。
現時点では確実にInDesignの方が安定しています。

しかし一部分の切り抜きはAcrobat単品での作業が便利です。
無駄な余白を完全削除し、不必要な情報も抹消可能です。
次回に紹介したいと思います。