興味を持ちましょう

生産部のHです。

 これまで組版の分野にて、「実戦で役立つ」あるいは「若い人たち」にも知っておいて欲しい…なんて事を徒然と書いてきました。時には昔話なんぞも…

 思うに自分の職種に興味を持ってるか…?確実で効率の良いものを探求してるか…に尽きるのですが(理解の深さは興味があってこそかな)

 興味を持つきっかけは何でもよくて、例えば、
 「ポイントの大きさには二種類ある」、「細い罫を表罫って呼ぶのは何で?」とか…実務には直接関係がなくて単なる雑学に過ぎずとも、そこから始まるものもあるんじゃないかと…

 例えば、「剥」という字
 JIS72からJIS83に改定されたときに「剝」から「剥」に字形が変わったんですね。JIS90では変わらず。(JISxxは国が決めた文字のセットだと思ってください)
 JIS2004では多くの字形がJIS72に戻ったようですが、「剥」は変わらず。変わらない代わりに「剝」が追加になりました。
 シフトJISでは、ウィンドウズのバージョンを問わず「剥」しか出ませんが、ユニコードでは「剝」も打つことができます。

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 …シフトJISでエンコードした場合「剝」は文字化けとなります(図参照)

 文字の話は似たようなことを以前のブログにも書いたんですけど、つい最近いくつかの文字に関して字形の移り変わりを考えていたのです(もちろん興味があって)。

 もともとこんな事を考える人ではなく、仕事人間でもなく、単に興味の幅が広がっていった結果

 こんな事柄でも「文字化け」につながる原因が含まれているわけで、調べて知った知識に無駄なものはない


 …と言う話でした。


画面構図テクニック

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システム部のNです。

今日販売されているカメラには撮影者が細かく設定をせずとも、色調補正、手ぶれ補正、露出補正などがオートになり、プロ顔負けの仕上がりが可能になりました。
しかし、技術が発達しても「構図」というものは未だ人間にしか編み出せない領域です。
高級なカメラを手にしても、どんな場所から、どのタイミングで撮影するかを判断してくれるカメラはありません。

絵画、映画、写真、これらを生業とするプロにとって構図とは作品の雰囲気を決定してしまうほど重要視されています。

構図で有名な映画監督といえばスタンリー・キューブリック氏です。
キューブリック氏は写真家として活動していたという経歴もあってか、映画作品では構図に強いこだわりがありました。キューブリック氏が作り出す画面に奇妙な
清潔感があるのは一点透視図法シーンが多いためだと考えられます。
詳しくは「Stanley Kubrick's One-Point Perspective」で検索してみてください。

構図の作り方は一点透視のみならず様々な種類がありますが、絶対的な答えというものはなく千差万別です。あらゆるシチュエーションの中でいかに面白く被写体を閉じ込めるかが大事です。


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空と山で上下に二分割



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見せたい部分を中央に置いて縦に三分割



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視線を誘導するようにS字型に物体を配置

 

色調や明るさに加え、構図とは人間の無意識に語り掛ける重要な要素。これらの条件が揃ってはじめて作品のクオリティが確保できたと言えるでしょう。

ありがとうございました。

 


組版、今やむかし…

生産部のHです。

 今年も早いもので上半期が終わりました。3月入社の新人社員たちも研修期間が3か月を過ぎ、徐々に実践へと進んでいる頃ではないでしょうか。

 さて、ここ数回のブログでは「データベース」を応用した組版現場での実務を紹介しましたが、ちょっと基本に戻ってみます。
 二年ほど前ですが「いまさら計算ですか?」というタイトルのブログを書きました。「いまどき」では計算なんてですが…では何故かつての電算写植では計算が必要だったのか? 軽くですが、そこに触れてみよう思います(計算のしかたは、ブログ「いまさら計算ですか?」を参照)。

 

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★写真より

 

 画面には上記のような命令文が並んでます。解説しますと、
1.「指1」から「符復1」までが、版面を構成する最小限の指令となります。
2.「728-1028」→仕上りサイズ
3.「600-844.5」→版面サイズ
4.「1-2-46-288-24」→横組み・二段組み・46行・行長288Q・段間24Q
5.「Y12Q行オ18.5」→本文グリッドの指定(横12Q行送り18.5H)
…と、こんな感じ

 「4と5」の指定をもとに「3」の数値を出します。この計算が狂うとエラーとなり組処理の中断やガタガタなものが出てきます。つまりは、この計算が出来ないと確認用のプリント出力も出来なかったのです。この辺りは実にキッチリとした組版って気もしますね。
 こういった計算だけは、今の人にも理解をして欲しいところです。

 

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フロアに残る最古の機械

 

 これは基本的にテキストエディターの機能しか無いので、出来上がりの確認はプリントを出してからです。画面でプレビューを確認しながら作業する現代のDTPとはアプローチが異なって、頭の中で構図を組み立てるんですね。

 余談ですが、ワタクシの最初の機械は上記の機械からモニターと8inchフロッピーのドライブを取ったもの。本体としてはキーボードのみ、そこに紙テープをセットする装置があるだけでした。紙テープは「記憶媒体」です。

 

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入力用のさん孔テープ(紙テープ)

 

 モニター無しなので集中力がすべてですね(笑)今日ではAdobeのCreativeCloudを使って仕事をしているのですから、もう何十年…組版をやってるのだろう・・・

 個人的には、そろそろ第二の人生って気もしますが、また次回では何か役立つモノを紹介できると良いですね

 


映像のつなげ方

システム部のNです。

映画は一枚の絵画とは異なり、カットの連結によって構成されています。
物語を伝える上でカットの順番は重要であり、組み合わせ次第で視聴者が受ける印象は180度変わります。以下は一例です。

① 主人公が車を運転しているカット
② 主人公が家のドアを開いて中へ入るカット
③ 主人公が浴室でシャワーをあびているカット

これらは①~③の順につなげて映すことで
「主人公は自分の家に帰って一息ついているのだな」
というように視聴者は理解するのです。

では、順番を変えるとどうなるのでしょうか。

① 主人公が浴室でシャワーをあびているカット
② 主人公が車を運転しているカット
③ 主人公が家のドアを開いて中へ入るカット

以上の順で見た場合
「主人公は誰かの家でシャワーを浴びてから自宅へ帰った」
「主人公は自宅でシャワーを浴びてから誰かの家へ向かった」
という別の解釈が生まれるのです。
もちろんこれらは①よりも前のカット、あるいは③より後のカットが何かによってさらなる解釈を生みます。

このように個々では独立した映像であっても、連結して互いに影響を与え、一つの物語として成り立たせるのが映画なのです。

以上のテクニックを活かせば映画に限らず、ご家族の思い出の映像などもよりクオリティが高い作品に仕上がることでしょう。

ありがとうございました。

 


フォント(書体)について

DS課のWです。

 フォント(書体)について書いてみたいと思います。今回は欧文書体につきまして。

 PCでの作業当たり前になる以前、活字からはじまり、写植となり、1985年にページレイアウトソフト「PageMaker」の販売されるとDesktop Publishing、いわゆるDTPが広まっていきます。

 そこで使われるのがデジタル書体をフォント(Font)となります。

 1986年にリリースされたFontographerの登場でMachintoshで上でフォント作成を手軽に行えるようになり、その優れた操作性から、世界中のタイプデザイナーやグラフィックデザイナーに認められ、今でもオリジナルフォントの作成や外字作成など多くのフォント制作で使用されています。

 英語はデータ容量も軽い1バイト(256種類)言語で表記できるためDTP草創期より多数の書体がPCに付属していたことから書体選択の自由を手に入れることになります。さらにFontographerを使うことでオリジナルの書体の作成が一般の人でも可能になり、映画のタイトルをモチーフにしたものや、あったら便利な記号・サインをまとめたものなど、インターネットの普及もありブームといえるほどのインディーズフォントが巷にあふれていきました。

 そういった、ある種混沌と言えるほどの状況の中から必然的に淘汰、再考が行われ、魅力的なカタログを持っているメーカーのみが生き残っていきます。

 とりわけインディペンデントの中でもアメリカの1984年設立のエミグレ(Emigre)、ドイツの1991年設立のフォントショップ(FontShop)により斬新な書体が立て続けに発表されていきます。

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 エミグレ社は、そしてコンピュータ用に作られたオリジナルフォントを設計する最初のタイプのファウンドリーと言われています。そして1980年代後半と1990年代のかなりの部分を通して、最も最先端と言われる書体のいくつかはEmigreによって開発、リリースされてきます。

 その間同社は書体を紹介する雑誌エミグレ誌(Emigre magazine)発行し、誌面でもそれらの書体デザインの可能性を提示し、またグラフィック表現の斬新さから有名になっていきます。

 日本での使用例、中でも楽天の “Base 9 Sans”、C.C.Lemon の“Triplex Serif”、明治学院大学の “Manson Serif” あたりは非常に有名です。

 2011年1月にはニューヨーク近代美術館MoMAが新たなアート作品としてフォントを加えました。エミグレからKeedy Sans、Mason Serif、Template Gothic、Oakland、Dead Historyの5書体がコレクションに選ばれています。

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 フォントショップ(FontShop)は “デザイナーがデザイナーのためにデザインしたタイプフェイス” というねらいで展開させていきます。また、1991年から2000年の間に、タイポグラフィーの実験用雑誌、FUSEをアートディレクターのNeville Brodyと18号発行しています。

 フォントショップからもFF Meta、FF Blur、FF DIN、FF BeowolfがMOMAのコレクションに加えられています。

 両誌ともが提案したフォント使用の実験が一般紙に広まりデザインにおける可読性論争が巻き起きます。端的に言うと紙面がカッコよければ読めなくてもいいのかということです。デジタルになってハンドリングできる領域が広がったことの功罪ともいえるのではないでしょうか。雑誌「Ray Gun」などが極限まで推し進めた結果ブームは終焉を迎えます。

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 インディフォントの熱気や可読性の論争が落ち着くと、当初、奇抜とも斬新ともいえる書体開発のメーカーという印象を抱かれがちだったエミグレは1990年代後半からは古典回帰の見せ始め、様々な伝統書体の復刻、翻刻を積極的に行い発売し始めました。

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 フォントショップにおけるベストセラー書体FF DINはドイツ工業規格のための書体で、ドイツの高速道路で使われています。FF Metaなどと世界的に大流行し、現在も引き続き多くの媒体で多用されてます。

 新しいものから古いものが再び見直されて豊かな文化が形成されていくといういい例ではないでしょうか。選択肢の多いがゆえに使う者のセンスが問われるのは間違いないですが。

 


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