色校正と本機印刷の差

江戸川工場のFです。

4月にM常務が退職されて新体制となり、はや2ヶ月余り経過しました。常務の功績を汚すことなく日々の業務を邁進して行っております。最近では私も現場から上がってきた刷物の色調チェックを行っておりますが、色校正と本機印刷との差異が必ずと言っていいほど生じています。今回はその件について書きたいと思います。

多色印刷による先刷インキに対する後刷インキが転移することを「トラッピング」と言いますが、それは刷る間隔(インターバル)や、刷り順によって変化します。
平台校正機では、先刷インキを十分に乾かせる間隔をとることが可能な為、後刷インキもしっかり転移することができます。また、刷り順を変えることも可能です。
印刷本機では、高速回転の為、先刷インキが乾ききらない内に後刷インキがのってきます。そのため後刷インキが十分にのりきらないのでトラッピング不良が起こり、色校よりもトラッピング部分の濃度が上がってこない現象が発生します。場合によっては、先刷インキが後刷インキに取られてしまいそのインキが後刷ローラ部に入り込んでインキ濁りを起こす「逆トラッピング現象」を起こすこともあります。その様々な現象が色校正と本機との色調の差になって現れます。
また、ドットゲイン量も本機と色校正では異なる為に小型印刷機ではよく実践していますが、CTP出力時にドットゲイン量を補正(網点を若干細らせる)して、最終的に同じような網点になるように工夫しています。それも一旦本機に掛けてからの判断なので時間的な手間が掛かってしまっています。
なお、補足ですがドットゲインには2種類あり、そのひとつは機械的ドットゲイン(印圧による網太り)、もうひとつは光学的ドットゲイン(紙の内部に浸透した光)です。光学的ドットゲインの方が機械的ドットゲインよりも大きい為、通常ドットゲインと呼ばれるのは光学的ドットゲインの方です。

以上のことを踏まえると平台校正と本機印刷での差異を無くすのは非常に困難な為、品質要求度が高い印刷物に関しては、可能な限り本機校正をしていただけるよう営業の皆様には、ご理解とご協力をお願い致します。