ここまでやれる?

営業のNです

営業の仕事とは正に仕事を獲る事です、本当にシンプルで分かりやすい。

この話は今から38年前の当時営業経験4年目26歳若造の私が目の当たりに見た衝撃的事実です。

普通同じ会社のベテラン営業を見習い尊敬するものですが、私の場合は得意先の営業のKさんに本当の営業の凄さをリアルタイムで見せつけられました。

そのKさんは業界11位の広告代理店に営業として働く何の変哲も無いサラリーマンでした。年齢は46歳既婚、初対面の名刺交換は素っ気ないというかぶっきら棒というか、あまりいい印象ではなかったですね、スーツ姿も決まってなかったし、でこのKさん誰もが知ってる世界的メーカー、4輪と2輪の◯ンダ技研工業を営業として攻めることになったのです。

狙うは2輪のオートバイの方です。

その後にとった行動が営業の真髄と言うか荒唐無稽というか多分誰も真似できないでしょう。毎日訪問するのは当たり前の事ですが、Kさんはなんと自動二輪の免許を取るため教習所に通い始めたのです。

46歳、普通免許すら持っていない、原チャリにも乗った事がないおっさん。

「何で自動二輪の免許を取るんですか?」と聞いたら、

K「Nちゃん何言ってるの?偉大な二輪メーカーの仕事を取るのに、免許はありません、オートバイもありませんじゃ、仕事なんか取れる訳ないでしょ、原付なんかじゃ話にならないし、仕事取るためにはやれる事全部やるんだよ」

「・・・・」

K「勿論400ccの◯ンダのバイク新車を買うから」

いや〜驚きました、仕事取るためとはいえ、ここまでやるものなのか、驚きもし、勉強にもなりました。

大変だと思いますよ会社終わって教習所通って、46歳今迄免許無し。

Kさんはメーカーの担当者さんに教習所に行ってる経緯などを話していたそうです。そして営業としての極め付きは、憧れの◯ンダのバイクに早く乗りたい、400ccなら何を買えばいいかアドバイス下さい。

こりゃ相手の担当者さんも嬉しいでしょ、Kさんはこのようにして相手の懐にドンドン入って行って、担当者さん以外の社員の方にも有名どころとなりました。

教習所を卒業して無事免許を取得、得意先担当者さんのアドバイス通りの新車バイクを購入、プロかと思うようなライダースーツ、フルフェイスで広告代理店に出勤、回り皆スーツ姿の中でKさんだけ、このかっこ、カッコいいけど完全に異様な光景。驚いた事にこのかっこで、バイク国道246飛ばしてメーカーに商談に行く。

相手もいきさつを重々承知しているから笑顔で大歓迎、メーカー主催のイベントをいくつも成功させる。しかもこのKさん担当者さんからモトクロスのレースに出てみないか?と言われ何とレースに参加してしまう、初のレースなので70ccクラスで子供たちに混じって参加なのだが、本人は真剣そのものヤル気満々、完全に勝つ気でいたが、敢え無く惨敗、しかしメーカーの方々は大喜びの大絶賛。

イベントで発生するカタログ、ポスター、チラシ、チケット、あらゆる印刷物を私が頂きました。Kさん、ありがとうございます。

余談、とは言ってもこのKさんの仕事はかなりキツかったです。奈良県の生駒山トライアルレース会場や富士スピードウェイに納品やら校正届けなど昼夜問わずやらされましたから・・・・・。

でもトコトン仕事を取る姿勢を私はKさんから学びました。かなり昔の話ですが今の営業の皆さんに少しでも参考になれば幸いです。