再計算の必要性【InDesign】

那須工場 DS課のKです.

初めて勉強部屋を書かせていただく事になりました.まさか私がブログの記事を書くなんて思ってもなかったので,若干手が震えています(笑).

さて,今回記事を書くにあたって題材を何にしようかな~と思いながら通常業務をしていた訳ですが,直近で使う機会が多かった【全ストーリーの再計算(以下;再計算)】について書こうと思います.

再計算とは?
普段組版時に使わせていただいているAdobe社のInDesignというレイアウトデザインソフトは,使いやすくて良いアプリです.
……が,バグが生じやすいアプリでもあります.
特に表示関係のバグが多く,データが重いほど正しく表示されないという事が多々起こります.
そこで活躍するのが【再計算】です.
データ内を全てもう一度計算して表示してくれるので,表示のバグが解消され正しく表示されるようになります.


↓【再計算】前↓

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↓【再計算】後↓

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このように【再計算】をすることで,設定上は表示されるはずがバグでズレてる!などの問題を解決することが出来るため,組版をする上で【再計算】は必要です.

 

表示上のバグが起こりやすいデータ
上記でデータが重いほどバグが起こりやすいと書きましたが,具体的にバグが起こりやすい物をいくつか紹介します.

①インラインが多いデータ
見出しや図表No.などでインラインを使うことが多々あります.
段落スタイル(テキストの設定)だけでは表現出来る体裁に限りがあるため,オブジェクトをテキストに入れてお客さんの要望に近い体裁を作る訳です.
自由度が高く便利なのでこの方法をよく使いますが,体感で一番バグが起こりやすいです.
インラインが少ないからと言って,バグが起きないとは限りませんので【再計算】は忘れずにやりましょう!

②段落スタイル設定【段落囲み罫】
段落スタイルの中に【段落囲み罫】という項目があります.
文字通り段落に囲みを入れる機能ですが,囲みが消える,重なるなどのバグが起きる事があります.

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③段落スタイル設定【段落の背景色】
段落スタイルの中に【段落の背景色】という項目があります.
これも文字通り段落の背景に色を付ける機能ですが,色が表示されない,色の範囲がずれるなどのバグが起きる事があります.
②と③は,①に比べて遙かに軽い(正確にはインラインが重すぎる……)ので簡単な体裁の見出しによく使いますが,数が多かったり特定の状況下では表示されない事があるので,やはり【再計算】はしましょう.

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再計算の使用上の注意
これまで【再計算】の有用性を述べてきましたが,使用の際に気をつける事が2点あります.
まず1点目は【再校以降には使わない】事です.
何故かというと,初校と変わる部分が出てくる可能性があるからです.
基本的に再校以降では執筆の先生や出版社の指示に従って修正をしますが,ここで【再計算】を使ってしまうと,指示以外の部分が変わってしまう可能性があります.
【再計算】後の方が正しい形の事が多いですが,先方の意図していない部分を変えてしまう事は避けるべき事態です.
事故の元になりますし,先方にとって良く無い方に変わってしまえば,会社の信用に関わります.
よって再校以降では【再計算】は基本使いませんが,再校以降の指示を直した際にバグが生まれた場合は仕方無いので【再計算】を使ってバグを直しましょう.
その場合は初校と変わっている部分が無いか,念入りに確認しましょう.

2点目は【必ず1回で全てのバグが直るとは限らない】です.
こちらは滅多に遭遇しませんが,一度だけ起きたので紹介します.
オブジェクトもページ数も多い場合,データのサイズが大きくなりすぎて,1回の【再計算】で直りきらない事があります.
普通の仕事の場合,データサイズは2,000~3,000KBであることが多いですが,この事件が起きたデータは30,000KB以上ありました.
これほどまでにデータが多いと処理が追いつかず,バグが直る部分と直りきらない部分が生まれます.
何度か【再計算】をすると直りますので,めげずに【再計算】をしましょう.


【再計算】について色々書かせていただきましたが,いかがでしたか?
【再計算】は組版においては地味な作業ですが,結構重要な役割を持っています.
縁の下の力持ち的なポジションで,私たちの作業を助けてくれていますのでご紹介しました.
次回書くことがあるかは分かりませんが,もし書くことがあるとするなら何にしようかな? と思いながら筆を擱かせていただきます(実際には指ですけど(笑)).

ここまでご覧いただきありがとうございました!

…と,普通はここで終わるのですが,小話を1つ.
私の前に那須工場で執筆したTさんより,ご紹介にタロットカードについて書かれたので,タロットの豆知識をご紹介します.
まずタロットの説明ですが,簡単に言えばカード型の占いアイテムです.
占った際に出たカードの絵柄によって暗示する内容が違うわけですが,タロットの面白い部分として【正位置】と【逆位置】があります.
正位置は通常の向きでカードが出る事で絵柄本来の内容を示しますが,逆位置はカードの上下が逆さまで出る事で絵柄本来とは逆の意味を持つ様になります.
【太陽】などの元々良い意味の物が逆位置で出れば悪い意味になりますし,【悪魔】などの本来悪い意味の物が逆位置で出れば良い意味になります.
ですが,唯一【塔】のタロットだけは正位置でも逆位置でも悪い意味を持つカードになっています.
正位置では『災害・悲劇』などで,逆位置では『天変地異・不幸』など,どちらが出ても碌な暗示になっておりません.
もしタロット占いに関わる事があれば【塔】が出ない事を祈りましょう.

小話までご覧いただきありがとうございました!
次回,那須工場からはサバイバルゲームが大好きなS君が執筆します!
ぜひ期待してお待ちください!