酒と泪と林檎と窓と…。

DS課のAです。

 若くてギラギラしていて、とんがっていたあの頃は、「DTPと言ったらマックでしょ!」、「ウィンドウズ? はぁ?」なんてツッパッていましたよね? 分かります、私もそうでした。
 MacでDTPを進めてきてPower Mac G4もいまだに健在?(起動時間は15分)ですが、時代は進み、技術発展も目覚ましく、わが社ではMac DTPからWindows DTPが主流になってきました。
 もちろん、どちらのOSにも対応できますし、Macが廃れたわけではありませんが、今回はMacとWindowsのOS間で、気をつける点などをおさらいしていきます。

0.その前に
 1986年にDTP※1が提唱されて、90年代後半には、わが社でもDTPが本格的に始動しました。
 「DTPと言ったらMac+QuarkXPress(or PageMaker)」と言われるように、当時はDTPソフトや和文PostScriptフォントなどは、Mac向けに開発が進み、Macで組むことがデファクトスタンダード(他の選択肢がほとんどない為)になっていきました。
 また、ディスプレイ画面の色彩(RGB)と、プリンタの色彩(CMYKトナー)、印刷物の色彩(CMYKインク+特色)の色を合わせることは困難でしたが、QuarkXPressなどのカラーの対応も早く、MacのColorSync※2により優れたカラーマネジメント(色の管理)ができるようになったことも、Mac DTPが進化した一因でしょう。

1.アプリケーションのバージョン一致とOpenTypeフォント使用で完全互換
 一昔前は、アプリケーションがMac版しか無い、Windows版があっても機能が制限されている、フォントが無い、出力までの環境が整っていないなどで、OS間のやり取りは非常に困難でしたが、現在は出力までの環境は整っていますし、Adobe製品(InDesignなど)であれば同一のバージョンを使い、同じOpenTypeフォントを使用すれば、完全な互換性があります。

2.Macで組む場合、欧文書体に注意
 OS Xでは、OS 9環境下で使用していた「Type1の欧文フォント」や「TrueTypeフォント」なども、100%ではありませんが使用できます。
 しかし、馴染みがあるからと不用意に使ってしまうと、Windowsで開いたときに置き換えが発生してしまいます。残念ながら先方データでは高い確率でこのフォントが使われています。
 OpenTypeフォントに同一の書体があればなんとかしのげます(セット幅などは変わります)が、無い場合には似ている書体で対応をしたり、場合によっては作字をしたりと、一仕事しなくてはいけません。
 可能な限り、欧文書体もOpenTypeフォントを使用していただけると助かります。

3.ヒラギノフォントの互換性の確認
 最新のMacのOS「OS X El Capitan」に搭載されているヒラギノフォントと、製品版・従来版のヒラギノフォントでは完全な互換性がありません。大きなものを二つ上げます。
 一つは、OS X El Capitan(OS X 10.11、10.11.1)では「異体字テーブルの不具合」により、アプリケーションによっては、まったく違う文字に置き換わる、文字が表示されないなどの不具合がありました。現在OS X 10.11.2以降にアップデートすることで、この不具合は解消されていますので、OS X El Capitanでヒラギノフォントを使用する際には、必ずアップデートをしてください。
 二つ目は、濁点類の大型化により、カーニング設定を「オプティカル※3」にしていると、文字詰めが変わってしまいます。そのため、ファイルを開く環境によっては組体裁が崩れてしまい、作成時と同じ体裁を再現できません。
 ヒラギノフォントで使ったファイルを開く際には、必ずOSやフォントのバージョンなどの環境を確認してから作業を行ってください。
 詳細はSCREENのヒラギノフォントのサポート情報サイトにありますので、ご確認ください。
http://www.screen.co.jp/ga_product/sento/support/otf_osx_El_Capitan.html

 さて、タイトルの落としどころが難しくなってきましたが、皆さんはどうしますか? 忘れたいことがあったり、寂しかったり、悲しいときには。
 飲みつぶれて寝ちゃいますか? それとも泣きつかれて寝ちゃいますか?(なんだか聞いたことがあるようなフレーズだなぁ)
 酒と泪がまったく似合わない私は、デリケートの欠片もないので、寂しいことや悲しいことも案外平気です。
 もちろん人間としての感情はちゃんとありますが、万が一にも飲みつぶれるようなことになったら、嫁さんが怖いですからね。

 お酒は何でも飲めますが、ビールが美味しくなる湿度と温度になってきました。尿酸値が若干高めの私はほどほどにしていますが、たまには浴びるほど飲みたいです。
 これからの季節、古いMacはもちろん、湿度と温度でPC本体の故障率も高くなりますので、掃除やメンテナンスもお忘れなく。
 いざというときに動かなくなったら、それこそ飲みつぶれるか、泣き続けることになってしまいますからね。


※1:DTPとは「DeskTop Publishing」の略です。日本語では卓上出版なんて言いますが,簡単に言うとパソコンで印刷物のデータを作成することです。DTPのさきがけとなった組版ソフト「PageMaker」の販売開始時に、Aldus社(後にAdobe社に買収)の社長ポール・ブレイナードが1986年に提唱した言葉です。

※2:ColorSyncとは、米アップルコンピュータがMac OSの拡張機能であるQuickDrawGXの中で提供しているカラーマネジメント(色の管理)機能のことです。スキャナ、ディスプレイ、プリンタなどは、それぞれが異なる方式で色彩を表現します。ColorSyncはOSのレベルでスキャナやディスプレイ、プリンタ間での、色の同一性を保つことを目的として開発されました。

※3:オプティカルは、InDesignやIllustratorなどにある、何種類かのカーニング設定(文字詰め)の一つです。オプティカルは文字の形状をもとにアプリケーションが自動で詰め量を計算しますので、OS X El Capitanに搭載されているヒラギノフォントを使用した場合、濁点類の大型化の影響を受けてしまい、文字詰めが変化してしまいます。呉々もOSのアップデートをお忘れなく。