悩み多き年頃???

工務のです。

今回は日常の印刷作業で悩ましいことについて書きます。

機長の仕事の中で特色作りは印刷機稼働率に影響する大きな要因です。
インキ会社の配合表と、実際に添付されてきている色チップ、強いのはどっち?
原稿に書かれているチップ番号と、原稿として目の前に存在している刷り物や色校正、
こだわるのはどっち?
こんなこと聞くのは愚問ですよね。配合表よりも、目に見える色チップであり、チップ番号よりも実際に目にしてしまった色校正や刷り物が常に原稿として優先されます。
ビックリするでしょうけれど、チップの色をインキ会社が発行している配合表どおりの配合で作っても合わないことだってよくあります。
校正刷り屋さんから貰う配合表も残念ながらあまり正確でない時があります。
このブログで前にも書いたことですが、色上質や特殊な色紙の刷り物が原稿でチップ番号なしのケースは本当に泣かされます。
そんな色校正紙に「校正紙通りに!」なんて書いてあると1000gのインキを作るのに、1g単位(混合比率で0.1%以下)の微調整を繰り返して特色作りに何時間もかかることもあります。
何処かで色がブレたからこんなことになる訳です。色校正?前回の印刷?原稿やチップの変色?インキ会社の情報?いろいろあります。
色付きの紙に特色で校正刷りをする時には、できるだけ前もって特練りインキを工場で作らせて下さい。そしてそのインキを校正屋さんに渡して校正刷りをしてください。
色によっては刷った直後と乾いた時とでは全く色の変わってしまうものもあります。
エンジ系や紺系、モスグリーン系などです。
その場合は原稿と刷りたての印刷物とを見比べても判断はつかないので、前回作業時のインキ配合記録と濃度管理と同一機での印刷が決め手となります。
乾いた原稿があっても、正確な配合がわからなければ再現に大変苦労します。
そういう微妙な色の配合は校正屋さん任せにはできないのです。

色調見本を送ってくれるのは有難いのですが、ごく稀にそれが活かされない場合もあります。
まず参照してほしい色調見本を付けた時には、必ずその有無を印刷札に書いてください。複数機械で同時に作業が行われるので、色調見本の存在に気付かずに印刷が終わってしまう危険があります。
定期物本文濃度は工場保管の前回刷り物が見本になりますので、前回刷り物のクレームなどの特殊な事情がない限りは添付不要だと思います。
定期物の表紙も毎回の刷り物を工場で残してあるので原則添付不要です。

次は必ず色調見本を付けて貰いたいケースです。
訂正本の切り裂きには必ず濃度見本を付けてください。
書籍などのスポット物も色調見本を必ずください。
表紙やカバーで表面加工がある物は加工前の刷り物を原稿にしてください。
PP加工、マットPP加工が施された原稿も特色作りを面倒にします。必ず加工前の刷り物を残しておいて原稿にして下さい。
印刷は多くの工程が分業で行われていて、しかもひとつの工程(組版工程や印刷工程など)の中でも複数の人間が少しずつ分担して作業を行い、商品を完成させます。当たり前のことですが、お客様の商品に対するご要望を正しく全員が共有することで完璧な商品をつくることが出来るのです。部署間での対話をしっかり行い、当たり前のことを一つ一つきちんとできる仕組みをつくっていけたらと思います。