紙は生きもの?

江戸川工場のNです。

 「紙は生きもの」なんて聞いたことがありますか?
 普段手にする本などで、そんなこと感じたことはありませんよね。例えて言えば少々極端かも知れませんが、水に濡らしてしまって紙が波打ったなんてことがありませんでしたか?

なんでそうなるのって言うのが今回の話です。
 紙は植物繊維で出来ていて、「目」が存在しています。この目は繊維の流れ方向を言っていて縦目や横目が存在しています。印刷用紙を抄造しているところは私も見た事は無いのですが、テレビで和紙を漉いている作業風景を思い浮かべれば良いのかと思います。水が上下に動くことで繊維が流れ方向に並んで目が作られています。機会があれば抄造しているところを見てみたいのだけど... この目は本を作る上で大変重要な要素です。ページのめくりやすさ、折り目など仕上がりに影響してしまいます。たまに逆目なんてのもありますが、ページ物の場合は、基本的に縦目で作られます。

 この目は、湿度(水分)が高いと吸収して伸びてしまい、低いと縮んでしまいます。繊維が呼吸するかのように目方向に伸縮を起こし、縦目の紙は天地方向に横目の紙は左右方向に伸縮してしまい、そんな伸縮してしまった紙を、「波打」「おちょこ」「カール」なんて言葉で表現しています。いずれも紙に含まれる水分量で、伸縮してしまうことからこのような言葉が生まれ、「生きもの」と称されているようです。また、印刷では紙に対して圧を掛けて印刷することから、湿度による伸縮と印圧によって、見当不良やダブリなどのトラブルに繋がることもあります。

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 さてそんな「紙」の扱いですが、湿度によって伸縮を起こしてしまう紙は、湿気対策のためにワンプに包まれて入荷されてきます。江戸川工場では工場内の温度を25~26℃、湿度を50~65%に年間を通して維持できるよう努め、印刷時と同じ環境に紙を寝かせることで紙の伸縮などのトラブル予防を行っています。
 今の季節は乾燥することによる静電気に、梅雨時には湿気からのトラブルと悩ませられることもあり、生きものとして考えると時として非常に扱いにくいこともある代物です。

 話がズレますが、ストーンペーパーなるものをちょっと前に印刷しました。石灰石が主原料となっているエコな「紙?」なのです。先日テレビ「ワールドビジネスサテライト」でもLIMEXなる石の紙が紹介されていました。一般的に使われている紙は、1屯作るのに水を100屯、木を約20本必要らしいのです。水を使用しない・木を伐採しない・CO2の削減と、従来の紙に比べ格段にエコな紙で、これから伸びてくる紙なのかなぁってところです。まだまだ、課題も残されている紙ですが、要注目です!!

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