PP加工とニス加工

 江戸川工場のOです。
 印刷物の価値を高めるPP加工(PP貼り)とニス加工(ニス引き)についてそれぞれ簡単に書きたいと思います。

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 "PP"とはポリプロピレン(PolyPropylene)の略称であり、熱で成形できるプラスチック樹脂です。比重が軽く家庭用品はじめ様々な用途で使用されており、耳にしたことがある方も多いかと思います。PP加工とは0.015mm程の薄いPPのフィルムをラミネーターにより印刷物の表面に貼ることで、印刷物の表面上をキズやコスレから保護し、見た目や手触りにも変化を持たせる加工です。書籍や雑誌等のカバーや表紙でよく見る"つるつる"したアレです。光沢があり"つるつる"手触りが特徴の「グロスPP」と、光沢を抑え"しっとり"した手触りに落ち着いた仕上がりの「マットPP」が一般的です。耐摩擦・光沢共に表面加工の中で最も高いのが特徴です。
 非常に優秀なPP加工ですが、知っておかなければならない事もあります。1つに表面上にフィルムを貼り付けることで色が変化して見えてしまうことがあります。濃度が上昇したようになり、ものによっては赤みが強く見えます。これはインキの成分による問題であり、変化自体を避けることは出来ません。よってPPによる色調トラブルを防ぐには、色の変化について事前によく知っておく必要があります。2つ目にPP加工では一般的に4/6判135kg以上の用紙を使用します。135kg以下の用紙の場合、ラミネーターでフィルムを圧着させる際の高熱によりカールやシワが発生してしまう為です。

 同様の効果を目的とした加工に"ニス"があります。OP(オーバープリント)ニスと言い印刷機に通して加工を施すことが出来ます。ツヤ(光沢)を出すグロスとツヤを抑えたマットの2種類が有り、塗ることで表面を保護します。ラミネーターを必要としないため、低コストかつ短納期で仕上げることが可能です。又、PP加工では難しい4/6判135kg以下の用紙にも加工を施すことが可能です。但し光沢や耐摩擦において表面加工の中では最も低く、PP加工と比べると大きく劣ります。

 2015年に江戸川工場にもPPラミネーターが導入されたことに際して、表面加工の中でも江戸川工場にフォーカスしてPP加工とニス加工について基本的な所を書きました。三報社では書籍を多く扱っており、表紙カバー等などで表面加工はよくみられます。印刷の現場に直接的な関わりのない方でも予備知識として知っておいて損は無いかと思います。